右回り左回り
物質には右回りと左回りがある・・・。いや、ないものもあるんですけどね。
生物が利用するアミノ酸なんかはすべて左回りなのです。右回りはほとんどない。
アミノ酸とかビタミンとか炭水化物とかは炭素原子を含む化合物です。
例えば。
CH3CH2OH:これは毎晩お父さんが飲んでますね。アルコール。
(SO3H)CH2CH2NH2:タコとかイカとか1000mg配合!な栄養ドリンクとか。タウリンです。
(CH3)3N+CH2CH(OH)CH2COOH:ダイエットで流行ってましたねーのカルニチン。アミノ酸の一種。
炭素原子は化合物を作るとき使える手が4本あります。
平面ではないので正四面体の真ん中に炭素があると考えましょう。
こんな感じです。
ここで四本の手に全部違うものがついていた場合は
鏡に映したように違うものが2種類できることがわかるでしょうか?
こんな感じですね。
これらは鏡像関係にあり二つの構造物はどんなにぐるぐる回しても重なり合うことはありません。
この4つ全部別のものがくっついた炭素を不斉炭素といいます。
(不斉炭素をもつ化合物は光に関して面白い性質があるんですが説明が長くなるためこの辺へ)
不斉炭素を持つ化合物は旋光性がある、といって要は同じ分子式、分子量のものでも2種類あるということです。
物理、化学的には同じものでも左回り(左旋性、l体(えるたい))、右回り(右旋性、d体)があるのです。これを光学異性体といいます。
実験室で化学合成を行うと通常は左旋性、右旋性が半々に混ざった物質ができます。(どっちかに偏って合成する技術も研究されている。)
・・・が、不思議なことに地球上の生物を形作っている物質のほとんどは左旋性。
なぜだか生物界では左右の対照性が破れているのです。
よって地球の生物が右旋性のアミノ酸とか摂取しても利用できません。(ものにより使えるものもあるが。)
例えばビタミンC(別名アスコルビン酸)なんかも左旋性でないとコラーゲン合成などに利用できません。でも抗酸化作用はどっちでも同じなので普通市販のビタミンCはd体とl体が半々に混ざったdl体が入ってます。
サプリメントの成分表をよーく見てみるとdl-アスコルビン酸とかl-シスチンとか書いてあるはずです。味の素はl-グルタミン酸。
この旋光性はもちろん薬にもあります。
例えば。
抗生物質(合成抗菌剤)でタリビットというのがありますがこれはdl混ざったもの。同じ成分のl体だけを取り出したものでクラビットというのがあります。細菌に効果があるのはl体だけなのでクラビットのほうがタリビットの半量で同じ効果が出ることになります。
またサリドマイドも旋光性で差が出たものです。妊婦にも安心な睡眠薬として使われたこの薬剤は奇形を生じさせるので使われなくなりました。実はこの薬はdl体が混ざったものでした。l体のほうは睡眠薬の効果がありますが、d体を妊婦がとった場合奇形を生じる可能性が高いことがわかっています。(ちなみにd体の催奇形性は血管新生阻害作用によるもの。これをうまくつかえば癌やエイズに効果がある可能性があり研究が進んでいます。多発性骨髄腫については臨床でも成果が出つつあります。ほかにもハンセン病の痛みに対する効果があるということでアメリカでは再認可されています。)
旋光性を扱う話で引き合いに出されるのはルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」。
鏡の国のミルクを飲んでみたいか?と聞かれたアリスはきっと美味しくないので飲みたくないと言います。
この作品が書かれたころには光学異性体という概念は発見されていませんでしたが、d体のアミノ酸しか入ってないミルクはきっと美味しくないことでしょう。
生物が利用するアミノ酸なんかはすべて左回りなのです。右回りはほとんどない。
アミノ酸とかビタミンとか炭水化物とかは炭素原子を含む化合物です。
例えば。
CH3CH2OH:これは毎晩お父さんが飲んでますね。アルコール。
(SO3H)CH2CH2NH2:タコとかイカとか1000mg配合!な栄養ドリンクとか。タウリンです。
(CH3)3N+CH2CH(OH)CH2COOH:ダイエットで流行ってましたねーのカルニチン。アミノ酸の一種。
炭素原子は化合物を作るとき使える手が4本あります。
平面ではないので正四面体の真ん中に炭素があると考えましょう。
こんな感じです。
ここで四本の手に全部違うものがついていた場合は
鏡に映したように違うものが2種類できることがわかるでしょうか?
こんな感じですね。
これらは鏡像関係にあり二つの構造物はどんなにぐるぐる回しても重なり合うことはありません。
この4つ全部別のものがくっついた炭素を不斉炭素といいます。
(不斉炭素をもつ化合物は光に関して面白い性質があるんですが説明が長くなるためこの辺へ)
不斉炭素を持つ化合物は旋光性がある、といって要は同じ分子式、分子量のものでも2種類あるということです。
物理、化学的には同じものでも左回り(左旋性、l体(えるたい))、右回り(右旋性、d体)があるのです。これを光学異性体といいます。
実験室で化学合成を行うと通常は左旋性、右旋性が半々に混ざった物質ができます。(どっちかに偏って合成する技術も研究されている。)
・・・が、不思議なことに地球上の生物を形作っている物質のほとんどは左旋性。
なぜだか生物界では左右の対照性が破れているのです。
よって地球の生物が右旋性のアミノ酸とか摂取しても利用できません。(ものにより使えるものもあるが。)
例えばビタミンC(別名アスコルビン酸)なんかも左旋性でないとコラーゲン合成などに利用できません。でも抗酸化作用はどっちでも同じなので普通市販のビタミンCはd体とl体が半々に混ざったdl体が入ってます。
サプリメントの成分表をよーく見てみるとdl-アスコルビン酸とかl-シスチンとか書いてあるはずです。味の素はl-グルタミン酸。
この旋光性はもちろん薬にもあります。
例えば。
抗生物質(合成抗菌剤)でタリビットというのがありますがこれはdl混ざったもの。同じ成分のl体だけを取り出したものでクラビットというのがあります。細菌に効果があるのはl体だけなのでクラビットのほうがタリビットの半量で同じ効果が出ることになります。
またサリドマイドも旋光性で差が出たものです。妊婦にも安心な睡眠薬として使われたこの薬剤は奇形を生じさせるので使われなくなりました。実はこの薬はdl体が混ざったものでした。l体のほうは睡眠薬の効果がありますが、d体を妊婦がとった場合奇形を生じる可能性が高いことがわかっています。(ちなみにd体の催奇形性は血管新生阻害作用によるもの。これをうまくつかえば癌やエイズに効果がある可能性があり研究が進んでいます。多発性骨髄腫については臨床でも成果が出つつあります。ほかにもハンセン病の痛みに対する効果があるということでアメリカでは再認可されています。)
旋光性を扱う話で引き合いに出されるのはルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」。
鏡の国のミルクを飲んでみたいか?と聞かれたアリスはきっと美味しくないので飲みたくないと言います。
この作品が書かれたころには光学異性体という概念は発見されていませんでしたが、d体のアミノ酸しか入ってないミルクはきっと美味しくないことでしょう。
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